2016/10/29

アメリカ大学事情

合否判定の闇


今年も大学願書の提出の季節を迎えましたね シニアの高校生がいらっしゃるご家庭ではいちばん大変な時期かと思います 日本の大学入試しか経験していない親にとっては、アメリカの大学の合格基準はわからないことばかりです たった一点の差で合否が分かれる日本の制度も厳しいですが納得はできます アメリカの合否のあり方は、どう納得していいのかさえもわからないくらい闇は深いです


人種枠は存在する

これは間違いなくあります 各大学の内部資料を見れば一目瞭然です 必ず、人種の割合が掲載されています アイビーリーグのような超難関校ほど、見事に同じような比率になっているはずです 東の伝統校の場合、何十年も白人とアジア人の割合が変わっていないことが近年大変問題になっています アジア人の優秀な志願者が激増しているのにもかかわらず、未だに白人の合格者の割合がとても多いのが現実です

マイノリティ枠はどうでしょうか? マイノリティ枠を満たすために、マイノリティの学生の合格点が低いのは誰もが知っているところでしょう 今年始めに ジョージタウン大学は19世紀に奴隷制に関与していた事を認め謝罪しました 更に当時の奴隷の子孫に対して入学優遇措置をすると発表しました ここまで宣言をしている大学は他にありませんが 大学が理想とする人種の比率を頑なに守り続けているのはよくわかります






アジア人男子の切なさ

人種枠があるのですから、男女枠もあります 男女の比率も各大学の発表している比率が全くの半々に揃っています 文系理系の関係なく、大学毎にほぼ半々の男女比率です おかしくないですか? 理系や文系で男女のバラツキがあってもいいように思えるのですが、見事に半々です 明らかに意図的な操作をしています

いちばん合格するのがたいへんなのが、理系を目指すアジア人男子なのは間違いありません 息子が大学に願書を出したのが2年前です その年もどこかの高校で主席卒業をした中国系の男子がハーバードを訴えたのがニュースになっていました 毎年、似たようなニュースを耳にします 成績だけが抜群でも超難関校に合格できないのはわかっていますが、スポーツに芸術にその他の学外活動においても素晴らしい実績を残しても合格できないのであれば、訴えたくなるでしょう 気持ちは痛いほどわかります

これは実際に息子の高校の時の例です 生徒数3千ほどの公立のマンモス校に在学していました 卒業時、主席卒業が2名と 3位で表彰の生徒1名すべて男子でした 主席卒業の1名は白人でアイビーリーグの大学とスタンフォードに合格しています もう一人の主席卒業は台湾系の男子でアイビーリーグも MIT も合格出来ませんでしたが  Caltech に進学しました 3位の子はイラン系でこちらも秀才の誉れ高い生徒でしたが、私立の難関校には一つの合格も出ず 地元UCLA の生物工学に進学しました

ここにアメリカの大学合格基準の闇を見たようなきがします 白人でレガシー(親や祖父母が卒業生)のある子はとても有利と感じました 反対にアジア人ではどんなに優秀だったとしてもかなりの運に左右されます 主席は取れなかった学生でもアジア系でアイビーリーグに合格している生徒もいます その年の大学の事情で合否はかなり左右される印象です 


スポーツ枠や芸術枠

スポーツや芸術の特待生枠があるのはよく知られていると思いますが、特別な活躍をしていなくても大学によって認められることもあります 息子の場合は、高校のオーケストラに所属し、長く続けていた楽器がありましたが、賞を取ったこともなくなにもアピールするものはありませんでしたが 大学願書を出す際に 演奏のビデオも出しています かなりの大学でビデオ提出を受け付けています 腕に自信があれば音楽専攻でなくとも大学で教授の前で弾くのも可というところもありました

賞を取るような活躍をしているのでしたら強くアピールするべきです そうでなくても、まじめにコツコツ続けたというアピールもした方がいいです なにもないよりは何かがあるというのは強みです
 
主席卒業の台湾系の男子も息子のオケ仲間で同じ楽器担当だったのですが、彼は演奏のビデオをほとんど出さなかったらしいのです  ボーイスカウト活動やスポーツで輝かしい活動歴があったからかもしれませんが、息子の合格した大学に彼は合格できなかったのです Caltech に合格するほどの優秀な子でも格下の大学に不合格となることもあるのです 私には演奏ビデオが合否を分けたと思えてなりません

私立の難関校では、ユニークな生徒を優先して合格させていると感じます 息子の大学でも全米最年少養蜂家 とか 小説家 が合格しています 小説家はともかく、養蜂家っていったい・・・ 大学行ったら蜂はどうするんでしょうか? もうなんだかよくわからなくなってきましたが、ユニークな活動歴はとても優遇されます


成績優秀者は Caltech を目指す


結局、台湾系の彼は Caltech に進学しましたが 特筆すべきは Caltech は伝統的に人種差別をしない大学なのです 成績優秀でアジア系男子なら Caltech には必ず願書を出しておくべきです それだけ難易度も高いです 3位で卒業の子は合格出来ませんでしたから、主席卒業クラスの成績が最低でも必要ということです アジア人率も高く、インド系もウヨウヨいるそうです 人種枠で不合格がない大学というのは知っておいて下さい

この優秀な彼は 他に Harvey Mudd に合格しています 理系の最高峰だと私は思いますが知っている方があまりいません 一学年200人の枠しかないので、難関中の難関校です 東ではありませんよ カリフォルニアにある大学です


これから願書を出す方へ

2年前に大学を受験した子どもの親から言えることは、たくさん願書は出して下さいということです 願書を出すにも 費用が掛かりますが、合格しないことには始まらないのです 合格基準があいまいである以上、出せるだけ出した方がいいでしょう 成績以外にアピールするものがあれば何でも出しましょう 息子も漢字検定5級なんてものまで書いてました

高い旅費をかけて大学見学のツアーに行くより、一校でも多くの願書を出す方を私は勧めます 見学も余裕があればどんどん行って構いませんが、無理していかなくてもいいのではないでしょうか 合格すれば、合格者向けの説明会に必ず行くことになります 見学するのは合格してからもできるのです まずは合格を勝ち取るために一校でも多くの願書を出しましょう





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